「ふう、やれやれ…」
トクノの長老は座ってお茶を一口すするとやっと人ごごち付いた。
冬の間、同居している孫娘のお雪は家を留守にしていた。
雪女の自分の身体は長老に辛かろうと気づかっての事であった。多少淋しくはあるが風邪をひいてしまってはかえって看病などの世話でお雪に迷惑をかけてしまうと長老もお雪の提案を受け入れることにしたのだった。
しばらくたったある日のこと。
老人の一人暮らしを心配してか、近所の者が長老に一人の少女の子守りを願い出た。
少女の名は幸(サチ)という。年のころは10歳くらいの黒髪のなんとも愛らしい少女だ。
両親はトラメルに出稼ぎに行っている。
体よく子守を押し付けられたのにもかかわらず、昔孫娘のお雪を男手ひとつで育てた経験もあるしと安請け合いしたことを早くも後悔し始めることになろうとは長老は思いもよらなかった。
「いやはや、こんなに疲れるとは…もうワシも年かのう?」
誰に聞かせるでも無く独り言をつぶやいていると、外遊びから幸が帰って来た。
「ただいま」
「おかえり幸、茶を飲むか?」
「ありがとう」幸は長老の膝に座り、手渡されたお茶を飲み干した。
湯飲みを返してもらうとき、長老はいつも元気な幸の顔が曇っているのに気が付いた。
外で何か嫌なことでもあったのだろうか?
心配した長老がその理由を聞こうとしたとき、先に幸のほうが口を開いた。
「おじいちゃんにお願いがあるの。わたし…お雛様が欲しいの!」
「お雛様とな?」
「だって、今日一緒に遊んだみずほちゃんとあすかちゃんが自慢するんだもの!ひな祭りにふたりともすっごく豪華なお雛様を飾って貰ったんだって!」
これには長老困り果てた。
トクノの質素な漁師の長老と出稼ぎに行っている幸の両親に豪華なお雛様など用意できるはずもない。
しかしそのような大人の都合など子供の幸に理解できるはずもないのであった。
「うーむ。豪華なお雛様はちと難しいのう。」
長老がそう言うと幸の瞳にみるみる大粒の涙が溢れてきた。
「これ、泣くでない*おろおろ*」
「だって…だって…ヒック…」
とめどなく流れ落ちる幸の涙を見て、長老は必死で考えた。
「すまぬ幸、お雛様のことはあきらめておくれ。その代わり今度の休みにお前をゼントへ連れて行ってやろう」
「ゼント?」
「うむ、お前はまだゼントに行ったことは無かっただろう?とても綺麗な街じゃ。ココとは違い都会じゃからなお前に何か買ってやろうぞ」
「いいの?だっておじいちゃん貧乏なんでしょ?」
多少グサッと心に刺さる物があったが、長老はそんなことは顔に出さずに言った。
「友達と同じ物は無理だが、おじいちゃんが釣った魚を売ってなにかお前の好きな物を買えるようにしてやろう」
「だからもう泣くのはおよし」
「うん」幸の顔に笑顔が戻った。
長老はトラメルの幸の両親へ手紙を書くと出かける準備をした。
「上手く行くといいのじゃが…」
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【日 時】 3月11日(日)21時~
【集合場所】 誠島ゼント すてき手芸店 (六分儀座標: 34o 44’N, 41o 45’W)
※トラメル桜EMホール(六分儀座標: 37o 32′N, 172o 32′E)からも現地へのゲートを出します。
※桜EMホールへはブリ1銀前に直通ゲートをご利用ください。
【備 考】
◆ チャットチャンネルJapanEMevent(#の無い方)にお入りください。
◆ 戦闘準備のうえ、お越しください。なるべく貴重品は持ち込まないよう、お願いいたします。
◆ ラグ軽減のためイベント会場は途中で2か所に分かれます。会場移動をご希望の方は、自己責任において自力で行ってください。
◆ 料理・裁縫など物作りの得意な方の参加をお待ちしています。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、
イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
- イベント進行の妨害、かく乱行為。
- EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!
プレーヤーの皆さまのご協力をお願いいたします。