ブリテイン城の一室の扉の前でロイヤルガード士官候補生のニコル・ヴァレンタインは中の会議が終わるのを待っていた。石造りの壁に溜まった冷気が彼女のプレートアームからはみ出た腕を冷やりと撫でたので、クロークを羽織り直した。ブリタニアは冬である。城の中の雪は綺麗に片付けられているが街から一歩でも踏み出せば白く覆われた森が広がる季節だ。
今朝もまた上官のサー・ニコラスに呼び出されたのだ。いつもならば申し送り程度の時間で終わる朝の会議がこの日はなぜだか長引いていた。先ほど部屋に入っていった伝令らしき兵士がいたが…。
「何かあったのかしら…?」
ドアが開き、上官たちがぞろぞろと中から出てきた。部屋の奥でサー・ニコラスが少々困ったような顔をしてテーブルの上に置かれた文書を見つめていた。
「失礼いたします。 会議の後にこちらへ伺うようにと…」
「ああ…ミス・ヴァレンタイン、ちょうど良かった」
困った顔の上司に「ちょうど良かった」などと言われて、ニコルは一瞬苦笑いをした。
サー・ニコラスは胃の辺りを右手で押さえながら話を始めた。
「この前の…君の極秘任務だが…あれをどう思うね?」
先々月の要人エスコートの件である。記念すべきニコルの初任務であったのだが、事もあろうに肝心の相手を人違いしてしまった。偶然であるが特徴とコードネームが同じという別人に出くわしたせいである。後から任務に同行したサー・ニコラスが無事本物のエスコートを完遂してくれ事なきを得たが、ニコルにとっては手痛い経験であった。
「あれはわたくしの失態でございます。…偶然とはいえ…どのような言い訳を致しましても結果的には失敗だったのですから」
“失敗”を認める…そもそも失敗に縁の無かったニコルだがこの時は心から自分を恥じていた。
しかし、思い悩むそぶりは微塵も見せなかった。彼女のプライドは失われてはいない。
「ふむ、まあ初仕事の君を一人にしてしまった私にも責任があるだろう。ミスは次回に気をつければよろしい。」
「はい、その様に肝に銘じます」
殊勝に頭を垂れる部下を見て、サー・ニコラスはそれ以上の小言は言わない事にしたらしい。
ニコルに振られてきたのはまったく別の話であった。
「実は、気になる事件の報告があってね。まあ、事件というには些細な事なのだが…
去年よりブリタニア各地で不穏な空気が流れているのを君も感じているとは思うが」
「恐れながら…先ほどの伝令が何か?」
「カンが良いね」先ほどまで胃を押さえて苦虫を噛み潰したような顔をしていたサー・ニコラスが突然ニッコリと微笑んで自分を見たのでニコルも思わずつられて微笑んでしまった。
「ミス・ヴァレンタイン、君にこの件の調査を命ずる。すまないが正式な案件ではないので担当は君一人だ。人手が必要ならば市民の協力を募ってみてくれ。名誉挽回のチャンスだ。場所は…」
任務の内容を聞きながらニコルは彼女の顔が次第に引きつって行くのを感じていた。
【日 時】 1月29日(日曜日)21時~
【集合場所】 桜EMホール(六分儀座標: 37o 32′N, 172o 32′E)
※ブリ1銀前に直通ゲートがあります。
【備 考】
※戦闘・移動魔法の準備をして来てください。
※貴重品・貴重なペットの持ち込みは各自の判断にお任せします。
※EMは紛失物・ペットの復元はできません、予めご了承ください。
※チャットJapanEMevent(#の無い方)にお入りください。
※ロールプレイキャラの周囲を空けてくださるようお願いいたします。