【フィクション】ブラッドスポーン

Blood Spawn

引き続き行われるダイナミックなイベントシリーズに、新たなチャンプスポーンを発表します! 勇気のある方は、トクノのヤマンドンポイントに行って、強大な敵と戦いましょう! また、フィクションシリーズの次の作品「ブラッドスポーン」もぜひお楽しみください。

EM マラキ著

何年も前のこと……。

そのガーゴイルの肉は、保存のために使われた塩漬けのせいで黄ばんでいた。丁寧な切り込みが体を覆い、心臓と肝臓が一対のうろこの上に置かれていた。部屋には腐臭を消すためのお香が漂っていた。

リルビニアンはそのクリーチャーの唇を引っ張り、歯を調べた。「驚くべき標本だ。船長からもらったのか?」
ターニウスはノートを開き、メモを取り始めた。「昔、彼を手伝っていたことがあるんです。だから彼は航海中の奇妙なものを持ってくるんです。嵐で彼の船が南の島のほうに流されて、彼はそのクリーチャーをそこでを見つけたそうです」
「ヒスロスの近く?それで、解剖からデーモンの魔法の秘密を学んだのか?」

ターニウスは書き物から顔を上げずに答えた。「ガーゴイルはデーモンじゃありませんよ」

「何を言っているんだ?身体的属性と魔法がとても似ているじゃないか」

「比較解剖学の研究により、このクリーチャーは我々と同じように地上の人間であり、死すべき存在であることがわかったんです。胃の中には未消化の果物さえありました」

「それでは彼らの悪魔的な魔法の説明がつかない」

ターニウスは一冊の本を開き、リルビニアンに手渡した。 「それは呪いだと思います。これは10年前にヒスロスで発見されたカルトゥーシュから書き起こしたものです。ガーゴイルは悪魔族とは別の独自の文字言語を持っているんです」

リルビニアンはページに書かれた記号に目を通した。

An-bal-sil-fer mon-le mur trak sadis esh an-in-tas. Lem-de crios in-flam-le ku daemon-ku bal. Tu de ben-kir asper-le kat-ku gargl. Lem est An-Kal-Lem.

「意味不明だな。訳してくれないか?」

「もちろんです。大体、こう書いてあります。「偽りの預言者は多くの者を破滅へと導いた。彼らの血は邪悪なもので燃えていた。輪の者はこれらの呪われたガーゴイル達を追放した。彼らは 『追放された者』である。」

「ヒスロスのガーゴイルが呪われているということは、どこかに他のガーゴイルがいるということか?」

「そう思います。彼らは興味深い対照群となるでしょう。悪魔の呪いが血の中にあることを確認できますからね」

リルビニアンは微笑んだ。「このガーゴイルの血のサンプルをくれないか?」

*****

現在……。

普通の人にとっては、夜を漂うぼんやりとした点に過ぎないが、シラモにとっては、ソーサリアの太陽系の端にある彗星は生涯の夢であった。ムーングロウの望遠鏡のおかげで、ガーゴイルの学者は数十年以上もソーサリアに接近していなかった彗星を再発見することができたのだ。

人間の天文学者であるザカリアが、天体の謎を解くためにシラモをムーングロウに招待したとき、シラモはAn-ven Bal-sil彗星を見つける機会を得た。

彗星の現在の座標を記録していたシラモは、望遠鏡の反対側で騒ぎを聞いた。巨大な光学機器の上を飛んでみると、紺色のローブを着た数人の人間が、意識を失ったザカリアの上に立っていた。

シラモはその集団に飛び込み、神秘魔法のジェスチャーをした。「私の友を傷つけてはいけない。Vas Zu!」

スリープの魔法は、集団の防御壁に反射していた。シラモは反射した自分の呪文には抵抗できたが、空から引き裂かれるような連続した爆風には抵抗できなかった。墜落したとき、魔術師のリーダーが前に出てきた。「ザカリアに用があって来たのではない、ガーゴイル」

リルビニアンはブラッドスポーンのスパイクを描き、シラモの心臓を貫いた。「これがお前の再生の最初の部分だ」