お雪の宝物

「あれは何年前じゃったかのう…」
長老は網の手入れをしながら、独り言をつぶやいた。
「そうじゃ、あれは確かトクノの秘宝の時じゃ。」
「何の話? おじいちゃん」
作業を手伝っていた孫娘のお雪が尋ねた。
トクノの秘宝を求めて島のいたる所に冒険者がつめかけたのはもう随分前の話だ。
「昔、この地に宝物が隠されていたのが分かってな、冒険者が沢山来たんじゃ。
わしはもうその頃には隠居の身じゃったから宝探しはせなんだが…一夜の宿にとこの家に泊まった者も多かったんじゃよ」
「こんな寂れた所に沢山の人が来たなんて、なんだか信じられないわ」
「彼らは徳之島中のモンスターを虐殺していった。鬼も…雪女も…ありとあらゆるもの全部じゃ…宝を持っていたからな」
「宝ってそんなに良いものだったの?いくらモンスターだからって、なんだか気の毒ね」
「昔の話、じゃよ…それはそうと、もう夜も遅いようじゃ。先におやすみ」
「はぁい、おじいちゃんもあまり遅くまで無理しないでね!もう年なんだから」
「…年は余計じゃ…」

部屋を出るお雪の後姿を目で追いながら、長老は昔を思い出していた。
あの吹雪の晩に訪ねてきた親子を、青白い顔をした母親と小さな女の子の事を。
母親は言っていた。
「秘宝騒ぎで私たちの村にも人が沢山押し寄せ、村はひどく荒れてしまいました。何の罪も無い小さな子供を守りたい一心でここまで逃げてきたのです。どうかお願いします。ここに置いてください…」
「…その様な事情ならば遠慮はいらぬ。何、今はちょっとバタバタしているが、年寄りの一人暮らしじゃ。好きなだけここに留まるが良い」
「…ありがとうございます…うう…」母親は泣きながら何度も頭を下げていた。
「どれどれ、おお可愛い子じゃな」長老は泣いている母親の側にいる女の子を安心させようと優しく語りかけた。女の子は物怖じもせずに長老を見つめていた。
「…はげ!!」満面の笑みとともに女の子は言った。
「こ、これっお雪っ!!なんと言うことを…謝りなさい」
「禿げではない面長なのじゃ!」苦笑しながら長老も言い返した。
「おもなが?」「そうじゃ」「おもなが―」にこにこしながらおでこを叩いていたあの子が今はこんなに大きくなって…。
その年の春が来たころ、母親は姿を消してしまった。以来ずっと二人で一緒に暮らしている。
「…こんな吹雪の晩じゃったな…あれから何度か春が来たが、お雪はまだここにいる。ずっとこのままならば良いのじゃが…」
手入れの終わった網を壁に掛けながら長老はまた独り言をつぶやいていた。

その日の深夜、吹雪がどんどん強くなって二人の家を襲った。
雪嵐が家中を駆け巡り、真っ白くなった部屋に白い大きな魔物が現れた。
「おじいちゃんっ!おじいちゃん!」お雪が吃驚して自分の部屋から飛び出してきた。
その瞬間、魔物はお雪を抱きかかえると「あの娘だな!!返してもらうぞ!」と叫んだ。
「ま、待て!!お前は何者じゃ!! お雪を離せ!! お雪ーーーっっ!!」
長老は必死に叫んだがその声も虚しく魔物はお雪を連れ去ってしまった。
「な、なんと言う事じゃ…!! だがわしは諦めんぞ… きっとお前を探し出してみせる…」
びしょ濡れになった体を恐怖と怒りで震わせながら長老は決意していた。

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ジャム「…とまあ、長老の話はこんな感じだ」
猫又「要するに人探しですか?」
ジャム「厳密に言うと人じゃないかもしれないがな。まあお前もそんな感じだし別にいいだろ?」
猫又「ジャムさんの持ってくる話っていつもなんか変わった人の話ですねぇ…」
チェリー「類は友を呼ぶって言うしね(笑)」
ジャム「お前ら他人事みたいに言っているけど、その言葉の意味を良く考えてみろ」
猫又&チェリー 「「!!!」」
ジャム「納得したところでいつもの様に桜の皆さんに頼んでこいや」
猫又「はい(汁)」

というわけで!!

【日  時】 4月3日(日曜日)21時~ ※計画停電の影響により若干変更される場合があります
【集合場所】 桜EMホール(六分儀座標: 37o 32′N, 172o 32′E) ※ブリ1銀前に直通ゲートがあります。
【備  考】
※戦闘準備をして来て下さい。
※貴重品の持ち込みは各自の判断にお任せします。
※チャット(#EM-Event)にお入りください。