【イベント】 坊や 

ブリタニアのとある小さな洞窟に2匹のゴブリンの兄弟が住んでいた。2匹は幼いころに父と母を亡くし、兄ゴブリンが親の代わりをして弟ゴブリンの世話をしていた。ある日のこと、2匹が食べ物を探しに洞窟から出て森を歩いていると、遠くのほうで悲鳴が聞こえた。2匹が声のするほうに行って見ると、採掘をしていた人間が突如現れた真っ黒な鉱石エレメンタルに襲われていた。人間は最初のうち抵抗を試みていたが、やがて敵わぬとみると持ち物をその場に投げ捨てほうほうの体で逃げ出した。
「お兄ちゃん」
「ああ」
2匹はエレメンタルが人間を追いかけていなくなるのを見計らってその場に近づき、人間のかばんをまんまと手に入れた。
「何か食い物入ってる?」
「ちょっと待てって。あわてんな」
兄ゴブリンがかばんをあさると鉱石のかけら、いくらかのゴールド、そして紙包みが出てきた。兄ゴブリンは鉱石のかけらをその場に投げ捨て、ゴールドをポケットに突っ込むと紙包みの匂いを嗅いだ。
「食い物の匂いがする!甘くて香ばしい匂いだ」
「お兄ちゃんはやく開けてよ。僕にもくれよ」
「うるさい、どけ」
兄ゴブリンは弟ゴブリンの手をはらうと乱暴に紙包みを開けた。中には人間の作ったお菓子ジンジャーブレッドクッキーが包まれていた。
「お兄ちゃんずるいよ。独り占めする気だろ!」
「うるさい。食え、ほら」
兄ゴブリンは無造作にお菓子を握ってよこしたのでお菓子が割れた。
「なんでこんなかけらをよこすんだ!割れてないのが欲しい!」
弟ゴブリンは兄ゴブリンの手に噛み付いた。
「痛いっ。何するんだ。黙って食え!」
2匹は人間のお菓子をむさぼるように食べた。甘いものを食べたのは久しぶりだった。兄ゴブリンは残ったお菓子を自分のかばんに入れた。弟ゴブリンはそれに腹を立て、もっと食わせろと兄にせがんだ。兄ゴブリンはそれが鬱陶しくなり、思わず弟ゴブリンの頭をゲンコツで叩いた。
「やっぱり独り占めする気なんだ。兄ちゃんの馬鹿!」
そう言うと弟ゴブリンは泣きながら森の中へ駆けていった。兄ゴブリンはどうせすぐ戻ってくるだろうと気にとめなかった。

弟ゴブリンはオークの木の枝に腰掛けて泣きじゃくった。弟ゴブリンは悲しいことがあるといつもこの木の枝に腰掛けるのだった。
「兄ちゃんの馬鹿…」
「どうしたの?涙をお拭き」
声に驚いて振り向くといつのまにか横に人間の女が座っていた。子どもゴブリンは慌てて枝から飛び降りようとするが、肩をぎゅっと抱かれそれはできなかった。人間の女はやさしく子どもゴブリンの涙を拭いてやるとひょいと抱き上げ自分の膝の上に座らせまた優しく抱きしめるのだった。子どもゴブリンは泣き疲れるといつのまにか女の腕の中で寝てしまった。
子どもゴブリンが目を覚ますとベッドの上だった。きょとんとして辺りを見回すと、オークの木の上で抱きしめてきた人間の女が夕飯の支度をしていた。
「あら、目を覚ましたの?もうすぐですからね。さ、お顔を洗ってらっしゃい」

漆黒の闇が森を支配するころ廃墟の中にレンジャーが一人、仲間の身を案じていた。
「遅い…もしや何か彼の身に起きたのだろうか?」
レンジャーが瞑想をはじめると、ふわりふわりと彼の周りに霊魂が集まってきた。
「さまよう魂よ、大きな鳥を追ってこの地に来た我が友の行方を示せ。この辺りにいるはずだ」
「…。」霊魂が何かを言いかけたような気がしたその時、強風が起こり霊魂たちは霧散してしまった。
風に混じって飛んできたのだろうか、大きな黒い鳥の羽がレンジャーの頬をかすめて地面に落ちた。
「鳥め!どこにいる?!」
「立ち去れ…」闇の中から低く響く声がしたが、声の主の姿はどこにも見当たらなかった。
「もっと人を集めなければ…」レンジャーは仲間宛てに書き置きを残すとリコールの呪文を唱えて去っていった。

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【日  時】 4月29日(日)21時~
【集合場所】 トラメル桜EMホール(六分儀座標: 37o 32′N, 172o 32′E)
※桜EMホールへはブリ1銀前に直通ゲートをご利用ください。

※このイベントでは一部のキャストを演じてくださるエキストラ(ボランティア)を若干名募集しています!
4/28と4/29にログイン可能な方で、興味のある方はこちら までご連絡ください。
締め切りは4/27日24時です。
詳細はメールにてお問い合わせください

【備  考】
◆ イベントストーリー応募作品#1です。イベント後日、作品全文を掲載予定です。
◆ チャットチャンネルJapanEMevent(#の無い方)にお入りください。
◆ 戦闘があります。なるべく貴重品は持ち込まないよう、お願いいたします。
◆ 移動呪文の使えるキャラクターでお越しください。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、
  イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
  - イベント進行の妨害、かく乱行為。
  - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!
  プレーヤーの皆さまのご協力をお願いいたします。

【イベント】ある考古学者

「だーかーらー! そこのところちょこっと頼めないかなぁ?幼馴染のよしみってことで!」

ロイヤルガード隊長サー・ニコラスは目の前にいるこのクセのある幼馴染みのHarrison(ハリソン)をどうしたものかと考えていた。
今朝、執務室に入ってくると来客用のソファーでごろりと眠りこけている男の姿があった。一体何を生業としているのか、鞄1つの薄汚れた格好のこの男を見張りのガードは良くこの部屋に通したものである。
実はニコラスはこの男が苦手であった。昔から自分の目的を達成する為ならば手段をえらばない、極悪人ではないが押しが強くて口がうまい、自分とは正反対のタイプのこの男となぜか付き合いをやめることができない自分を不思議に思うこともある。今回は考古学者という肩書きで現われたが、その前は情報屋、またその前はジゴロ…そのまた前は…とこの男の型にはまらない生き方を面白いと思っているとでも言うのか?ニコラスは自問自答するが、いつも答えは出ないのであった。まあそれはおいといて。
最近の首都ブリテインへの襲撃者の増加の知らせを受けロイヤルガード隊も多忙を極めているというのに、ハリソンは個人的な警護の依頼を申し込んできたのだ。

「ハリソン、君の言い分はわかった。しかし私にも都合というものがある。君の仕事仲間だというカリー女史の捜索の件だが正直に言うと対応は難しいのだ。だいたい君の言う女史の失踪場所が問題だ。イルシェナーの中央部だって?あそこは現在大規模な事故があって…」

「事故があったから心配なんじゃないの!善良な市民が行方不明だっていうのに冷たいねぇ」
「いやしかし…」

こんな感じの押し問答が小一時間続いていたのだが、なかなか結論が出ない。
なにがハリソンをそんなにカリー女史に執着させているのかははっきりとはわからないが、どうせ金にまつわるモノであろうことはニコラスにも楽に推測できた。この男は昔からがめついのである。

「お話はわかりましたわ!」

ニコラスがハリソンの頼みを断りきれずにいると、部屋に居た部下のニコル・ヴァレンタインが口を挟んだ。

「ニコル君!いったい何を言う気かね?」
「サー、私の意見を聞いていただけますか? ブリテインの街に置かれている謎めいた樽についてガーゴイルシティへ調査へ行くことを進言いたします。ついでにイルシェナー中央部の様子も調べて参りたいと思います。」
「あの樽の調査か、なるほど。…しかし、先ほども言ったようにどんな危険があるのかわからないのだぞ!」
「承知しておりますわ。ですからこの際協力者を募って行くのが良いかと思います。」
「Sa-Yuか?」
「いえ、Sa-Yuは戦闘タイプではないので…以前我々に強力してくれた冒険者に声をかけてみようと思います。きっと力になってくれますわ!」

「そうそう、美人のねーちゃんは話がわかるねぇ!」
ソファーの男はとたんに上機嫌になって、鞄からワインを取り出すと瓶から直接飲みはじめた。
「んじゃーそれで決まりだな! このねーちゃん借りてくわ!あと人集めも頼むぜ!」
ニコルはハリソンの方へ向き直り、にっこりと微笑みながら言った。

「ハリソンさん、ご協力させて頂きますわ。そのためには貴方のもっている情報をすべて私達に教えていただけます?」

ハリソンの喉が*ごきゅり*と音を立てた。
「…良いぜ、俺の護衛と引き換えにな!」

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【日  時】 3月31日(土)21時~
【集合場所】 トラメル桜EMホール(六分儀座標: 37o 32′N, 172o 32′E)
※桜EMホールへはブリ1銀前に直通ゲートをご利用ください。

【備  考】
◆ チャットチャンネルJapanEMevent(#の無い方)にお入りください。
◆ 戦闘があります。なるべく貴重品は持ち込まないよう、お願いいたします。
◆ 移動呪文の使えるキャラクターでお越しください。移動できない場合は頑張って元気に走りましょう。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、
  イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
  - イベント進行の妨害、かく乱行為。
  - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!
  プレーヤーの皆さまのご協力をお願いいたします。

新人ロイヤルガード訓練2

ブリテイン城の一室の扉の前でロイヤルガード士官候補生のニコル・ヴァレンタインは中の会議が終わるのを待っていた。石造りの壁に溜まった冷気が彼女のプレートアームからはみ出た腕を冷やりと撫でたので、クロークを羽織り直した。ブリタニアは冬である。城の中の雪は綺麗に片付けられているが街から一歩でも踏み出せば白く覆われた森が広がる季節だ。

今朝もまた上官のサー・ニコラスに呼び出されたのだ。いつもならば申し送り程度の時間で終わる朝の会議がこの日はなぜだか長引いていた。先ほど部屋に入っていった伝令らしき兵士がいたが…。

「何かあったのかしら…?」

ドアが開き、上官たちがぞろぞろと中から出てきた。部屋の奥でサー・ニコラスが少々困ったような顔をしてテーブルの上に置かれた文書を見つめていた。

「失礼いたします。 会議の後にこちらへ伺うようにと…」
「ああ…ミス・ヴァレンタイン、ちょうど良かった」

困った顔の上司に「ちょうど良かった」などと言われて、ニコルは一瞬苦笑いをした。
サー・ニコラスは胃の辺りを右手で押さえながら話を始めた。

「この前の…君の極秘任務だが…あれをどう思うね?」
先々月の要人エスコートの件である。記念すべきニコルの初任務であったのだが、事もあろうに肝心の相手を人違いしてしまった。偶然であるが特徴とコードネームが同じという別人に出くわしたせいである。後から任務に同行したサー・ニコラスが無事本物のエスコートを完遂してくれ事なきを得たが、ニコルにとっては手痛い経験であった。

「あれはわたくしの失態でございます。…偶然とはいえ…どのような言い訳を致しましても結果的には失敗だったのですから」

“失敗”を認める…そもそも失敗に縁の無かったニコルだがこの時は心から自分を恥じていた。
しかし、思い悩むそぶりは微塵も見せなかった。彼女のプライドは失われてはいない。

「ふむ、まあ初仕事の君を一人にしてしまった私にも責任があるだろう。ミスは次回に気をつければよろしい。」
「はい、その様に肝に銘じます」
殊勝に頭を垂れる部下を見て、サー・ニコラスはそれ以上の小言は言わない事にしたらしい。
ニコルに振られてきたのはまったく別の話であった。

「実は、気になる事件の報告があってね。まあ、事件というには些細な事なのだが…
去年よりブリタニア各地で不穏な空気が流れているのを君も感じているとは思うが」
「恐れながら…先ほどの伝令が何か?」
「カンが良いね」先ほどまで胃を押さえて苦虫を噛み潰したような顔をしていたサー・ニコラスが突然ニッコリと微笑んで自分を見たのでニコルも思わずつられて微笑んでしまった。

「ミス・ヴァレンタイン、君にこの件の調査を命ずる。すまないが正式な案件ではないので担当は君一人だ。人手が必要ならば市民の協力を募ってみてくれ。名誉挽回のチャンスだ。場所は…」
任務の内容を聞きながらニコルは彼女の顔が次第に引きつって行くのを感じていた。

【日  時】 1月29日(日曜日)21時~
【集合場所】 桜EMホール(六分儀座標: 37o 32′N, 172o 32′E)
※ブリ1銀前に直通ゲートがあります。
【備  考】
※戦闘・移動魔法の準備をして来てください。
※貴重品・貴重なペットの持ち込みは各自の判断にお任せします。
※EMは紛失物・ペットの復元はできません、予めご了承ください。
※チャットJapanEMevent(#の無い方)にお入りください。
※ロールプレイキャラの周囲を空けてくださるようお願いいたします。

桜EM一周年記念&Meet and Greet

桜の皆様こんにちは

2010年12月17日より丸一年近く経ち、桜のEMイベントも一周年を迎えることとなりました。
桜EMイベント及びEM猫又を支えてくださった皆様に心よりお礼を申し上げます。
一周年を記念して特別なイベントを行う予定です。
イベントの後にMeet and Greetを行う予定です。

皆様のお越しをお待ちしております。

【日  時】 12月17日(土曜日)22時と23時(M&G)
【集合場所】 桜EMホール(六分儀座標: 37o 32′N, 172o 32′E)
※ブリ1銀前に直通ゲートがあります。
【備  考】
※戦闘・移動魔法・保険金の準備をして来てください。
※貴重品・貴重なペットの持ち込みは各自の判断にお任せします。
※EMは紛失物・ペットの復元はできません、予めご了承ください。
※チャットJapanEMevent(#の無い方)にお入りください。

新人ロイヤルガード訓練

秋風の吹きすさぶ中、ブリテイン城の裏庭にある戦闘訓練場では下級ロイヤルガード達が白い息を吐きながら訓練に励んでいた。長きにわたるベイン軍との戦闘のため疲弊したロイヤルガードは新人の補充を行ったが、戦後の混乱の為か生きる糧を得る為にガードに志願した者も多かった。その中には八徳の教えを知らぬ者も少なからず混じっていた。

ロイヤルガード士官候補生のニコル・ヴァレンタインはブリテイン城の一室で、戦略・戦術の座学を受けていた。
「つまらない授業ね、早く休憩にならないかしら?」彼女は心の中でつぶやいていた。
この日の授業内容は彼女には簡単過ぎたのである。他の士官候補生は熱心に教授の話に耳を傾けていたが、ニコルはぼんやりと窓の外を眺めていた。

士官候補生のニコルといえばロイヤルガードの中ではちょっとした有名人である。父親は元ロイヤルガード隊長、母親はマジンシアの貴族で富豪のヴァレンタイン家の跡取り令嬢でありながらロイヤルガードに志願したと言う変り種だ。豊かな赤い髪を持つ美女で武術の達人、酒にも強い。こう言うといくらなんでも話を作りすぎだと思われそうだが事実なのだから仕方がない。しかし最も特筆すべきは彼女のその性格であった。幼いころから名家の跡取り令嬢として育てられ、成績優秀・容姿端麗であった彼女はいともたやすく数多くの成功をつかんできた。いわゆる一般人が経験するような努力や挫折とは無縁であった。だが、その恵まれた家柄のためか親の七光りだと言われることも多く、彼女は孤独であった。そのせいであろう、若干協調性に欠けるところがあるのが唯一の欠点である。そのきつい性格もあいまって、彼女を敬遠するものも少なくなかった。特に一部の下級ガード達にとって彼女は面白くない存在だったのである。

退屈な座学の時間が終わり、眠気を吹き飛ばそうとニコルが城の裏庭に散歩に出てきた時である。
「見ろよ、お嬢様のお出ましだぜ!」訓練中の下級ガードの1人が言った。
「これはこれは…お嬢様におかれましては本日もご機嫌麗しく…」
にやにやと彼女を見つめる下級ガード達、入隊当初は戸惑いこそしたものの最近はもう慣れてきていた。
「みなさんごきげんよう!ところで何をしているのかしら?」たじろぎもせず、にっこりと微笑みながらニコルは言った。
「ミス・ニコル!我々は戦闘訓練をしていたのです!」白い息を吐きながら中の1人が答えた。
「あらそう?準備運動をしているのかと思ったわ。もしくはダンスの練習かと」
「っ!? 何だと!」周囲がざわめくのを感じながらニコルは続けた。
「失礼、言い過ぎました。でも戦闘訓練にはとても見えなかったので…」
いつのまにかニコルの周りを怖い顔をした下級ガードたちが輪になって囲んでいた。
「やれやれ、またこの展開か」と挑発に乗った自分を棚に上げて彼女は思った。
「ちょうど退屈していたところよ。今日も一手お相手しましょうか?」
「どうせならデートの相手を頼みたいね!」男たちからヤジが飛ぶ。
「良いわよ?でも私は自分より強い男性が好きなの。どなたが私を満足させてくれるのかしら?」
今までも何人もの大男たちが彼女に挑んだが、無駄なことだった。
10分後もかからず試合は終わり、立っていたのはニコル1人。彼女の足元には彼女に倒された男たちが転がっていた。
「デートに誘っておいて地面に寝るなんて、失礼ね」
ニコルは慎重に足の踏み場を探しながら歩き、訓練場を後にした。

次の日ニコルは彼女の上官、サー・ニコラスの執務室に呼び出されていた。

「ミス・ヴァレンタイン、これで何度目かね私が君を呼び出したのは?」
「25回目です、サー」
「半年でね。記憶力の良い君が何度も同じ用件で呼び出されるのは一体なぜなのかね?」
「…。」
「下級ガードの訓練は君の仕事ではない。こうもたびたび彼らをヒーラー送りにされては困ると…」
「君のお父上は立派なロイヤルガードだった、ぜひにと請われてヴァレンタイン家の婿養子になられたために退職してしまわれたが…」
ニコルはこの上官が苦手だった。父親の元部下で友人だというこの初老のロイヤルガード隊長は穏やかな物腰とは似合わず小言が多いのであった。彼女がロイヤルガードに志願したときに大反対した両親を説得してくれた恩人ではあるが、小さい頃からの知り合いというのもどうもやりにくい。
「お言葉ですが、彼らの方から私にかまってくるのです。それに言葉で言ってもわからぬ者には力で教えたほうが早いこともございます。」
「優秀な士官候補生の君に言うのもなんだが、人心の掌握術も学んだ方が良いのではないかね。」
「…犬のほうが賢いかと錯覚するような者もおります。」
「ニコル!」
サー・ニコラスは溜息をついた。
「過去の戦争で我々は多くの仲間を失った。今のブリタニアは指導者不在の状況にある。このところ目立った争い事は無いが、今後もこの平和が続くという保障は無いのだよ。」
「「我々は仲間割れなどしている場合ではないのだ。どんな新人でも立派なロイヤルガードに育てなきゃいかん。」…ですわよね?」
ニコルがいつもの自分の台詞をモノマネ付きで言ったので上官はさらに深く溜息をついた。
「君とて例外ではないのだがね。将来人の上に立とうというのならばチームワークの重要性を理解したまえ。いくら君が有能だとしても1人ではできない任務は山ほどあるのだよ、わかるかね?」
「力を持った上官が正しく命令を下せばそれで十分ではありませんか?」
ニコルがそう答えるとサー・ニコラスは苦虫を噛み潰したような顔をしながら左手をひらひらとさせ、彼女に退室を命じた。

さらに数日後、またもやニコルはサー・ニコラスの執務室に呼び出されていた。
「ミス・ヴァレンタイン、私が思うに君に足りないのは経験だ。そこで君に特殊任務を命ずる。本来は私の仕事なのだが、君にも同行して貰うことにした。君の持論が通用するかどうか試してみたまえ。非公式な任務だから人選は君に任せよう。君がヒーラー送りにしてしまったガードたちの代わりに一般市民から協力者を募ると良いだろう。」

【日  時】 11月27日(日曜日)20時~
【集合場所】 桜EMホール(六分儀座標: 37o 32′N, 172o 32′E)
※ブリ1銀前に直通ゲートがあります。
【備  考】
※戦闘・移動魔法の準備をして来てください。
※貴重品・貴重なペットの持ち込みは各自の判断にお任せします。
※EMは紛失物・ペットの復元はできません、予めご了承ください。
※チャットJapanEMevent(#の無い方)にお入りください。
※ロールプレイキャラの周囲を空けてくださるようお願いいたします。